2015年08月15日

うまい日本酒ベスト30

日本経済新聞系雑誌「日経おとなのOFF」にて2015旨い日本酒ベスト30に当蔵の日本酒が選ばれました。
詳しくは こちら 
 非常に嬉しいです。有難うございます。
 
 思い起こせば父が病気で倒れ、酒類業界のことなど何も分からずに蔵へ戻って来ました。蔵の経営も最悪でいつ廃業してもおかしくない状態でした。
 東京へ市場の勉強をさせて貰いに行き当時、売れている日本酒を飲み今のままでは駄目だと痛感しました。杜氏に「全ての日本酒を大吟醸と同様の工程で造ろう。限定吸水・ヌケガケ・小仕込み・低温発酵・無濾過・瓶火入れ・瓶貯蔵、最低でもこれだけの事はやろう。」と。しかしながら今までの造りとは全く違う為、杜氏はなかなか前向きには取り合ってはくれませんでした。
 数年後、杜氏が自ら引退し自分で酒造りを行うことになりました。当然上記のことは全てやりました。当初、醸造技術の先生指導の下、毎年失敗をしながらそれでもなんとか喰らいついて「美味しい日本酒を造りたい」この一心でした。そんな中、先生に「地元の養鶏・養豚、信州牛の肉に合う骨太な日本酒はできないですか?」と相談しました。そこで提案されたのが麹の使用割合を増やす「五割麹」でした。ただ単純に麹の割合を増やせば良いと言う訳でもなくこれまた非常に苦労しました。毎年が試行錯誤の連続。酒造りが苦痛でたまらないそんな時もありました。そんな中での旨い日本酒ベスト30への選出。本当に苦労が報われたなふと感じて長々と文を書いてみました。

 「人間何かを得る為には何かを失う。その対価を考えて生きて行くんだよ。」僕の恩人でもあり愛情を持って酒造りを応援してくれた酒販店様の言葉です。僕は自分の「生涯」と引き換えに自分なりの酒造りを窮めたい。そしていつか「理屈抜きで美味しい個性ある日本酒」でお世話になった人や応援してくれた人に恩返しをしたい。それが今の目標です。一滴入魂。
posted by いがやん at 10:52| Comment(23) | 日記